花粉、ダニ、猫、食物など、数多くのアレルギー源がありますが、金属が原因となるアレルギーを金属アレルギーといいます。歯科金属の種類によっては、体の中で溶ける物があります。溶けた金属は、唾液に混じっているタンパク質と結合し、消化・吸収後、基本的に皮膚の方に行き、代謝の激しいところに留まります。良くあるのは、手のひらと足の裏を中心に水疱状の湿疹(しっしん)が繰り返し生じる掌蹠膿庖(じょうせきのうほう)症です。水虫とまちがえそうになりますが、掌蹠膿庖症は無菌性の膿庖が主症状ですので、顕微鏡で見てもあの特有の糸状菌は確認できず、水虫ではないと診断されます。診断がつかず、突然の原因不明の皮膚病として悩み、例えば歯科治療で口の中に入れている金属が原因とは思いもよりません。子供では「しょう紅熱」と間違われやすいようです。年長者の重度アトピーでは金属アレルギーの頻度が高いという報告もあります。体の皮膚や肛門、その他の口から遠い部位に異変が起きたとき程、歯科金属アレルギーだということが見落とされることが多いようです。
歯科金属アレルギーは、上記のように、タンパク質―金属複合体が口から運ばれ、長い年月をかけ、皮膚の下にたまり、それを異物とみなした体が過剰反応を起こすのです。数十年経ってから突然発症することが多く、鑑別するのが大変な病気です。
金属アレルギーの有無を調べる方法
歯科でアレルギーを発症させやすい金属は「水銀」「ニッケル」「コバルト」「クローム」「パラジウム」など、唾液に溶け出しやすい金属が原因となりやすいようです。金属アレルギーの有無は、パッチテストで判定することができます。パッチテストは、下記の金属、18種類のばんそうこうを背中に張り、どの金属に反応しやすい体質なのかがを調べます。自分に合った金属のみを使って歯科治療を行えば、金属アレルギーのリスクが減ります。
▼17種類の金属と、比較用に生理食塩水を加えた18種類のパッチテスト
1 |
パラジウム |
2 |
水銀 |
3 |
金 |
4 |
白金 |
5 |
コバルト |
6 |
ニッケル |
7 |
アルミニウム |
8 |
クロム6価 |
9 |
銀 |
10 |
インジウム |
11 |
イリジウム |
12 |
鉄 |
13 |
スズ |
14 |
クロム3価 |
15 |
銅 |
16 |
亜鉛 |
17 |
マンガン |
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(参考)必須微量元素の過剰と欠乏について
必須微量元素と言って、亜鉛、銅、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、コバルト、ヨウ素といった体に必要な金属があります。が、言葉の通り、微量で十分です。ちなみに、適量のマグネシウムはアパタイトを強固にします。ただ、過剰になったり、欠乏したりするとそれはそれで、問題となってきますので、注意が必要です(下表参照)。
【必須微量元素の機能と欠乏/過剰症】
(1)亜鉛 Zn |
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欠乏 |
主症状 |
顔面、会陰部からはじまり漸次増悪する皮疹 |
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随伴症状 |
口内炎、舌炎、脱毛、爪変化、腹部症状、発熱、創傷治癒遅延、短躯、成長障害、免疫低下、精神症状(うつ)、味覚障害、食欲不振 |
過剰 |
急性:相対的鉄、銅欠乏症状 |
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(2)銅 Cu |
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生理機能 |
造血機能、骨代謝、総合織代謝 |
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欠乏症状 |
貧血、白血球減少、好中球減少、骨髄白血球系成熟障害、小児骨変化、骨年齢低下 |
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過剰症状 |
嘔吐、嘔気、心窩部灼熱感、下痢、黄疸、ヘモグロビン尿症、血尿、乏尿、無尿、低血圧、昏睡、下血 |
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(3)クロム Cr |
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生理機能 |
蛋白代謝、コレステロール代謝、糖代謝、総合織代謝 |
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欠乏症状 |
耐糖能異常、呼吸商低下、体重減少、末梢神経障害、遊離脂肪酸増加、窒素平衡の異常、代謝性意識障害 |
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(4)セレン Se |
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生理機能 |
抗酸化作用 T3からT4への変換 抗ガン |
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欠乏症状 |
筋肉痛、心筋症、爪床部白色変化 |
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過剰症状 |
セレノーシス(脱毛、爪剥離、中枢系障害) |
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(5)マンガン Mn |
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生理機能 |
蛋白代謝、脂質代謝、糖代謝、生殖能、免疫能 |
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欠乏症状 |
血清コレステロール低下、血液凝固能低下、毛髪赤色化、皮膚炎、成長障害、長幹骨骨端部X線透過性増加 |
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過剰症状 |
パーキンソン症候群、慢性初期、インポテンツ、無気力、傾眠、食欲不振、浮腫、筋肉痛、頭痛、精神興奮、疲労感、進行症状、錐体外路系障害 |
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(6)モリブテン Mo |
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生理機能 |
アミノ酸代謝、尿酸代謝、硫酸代謝、亜硫酸代謝 |
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欠乏症状 |
頻脈、多呼吸、夜盲症、視野暗点、易疲労性、嗜眠、失見当識、昏睡 |
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過剰症状 |
高尿酸血症、通風 |
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(7)コバルト Co |
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生理機能 |
ビタミンB12、造血 |
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欠乏症状 |
悪性貧血、メチルマロン酸尿状 |
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過剰症状 |
コバルト中毒 |
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(8)ヨウ素 I |
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生理機能 |
甲状腺ホルモンの作成、組成の代謝 |
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欠乏症状 |
甲状腺腫、甲状腺機能低下症 |
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過剰症状 |
甲状腺腫、甲状腺機能低下症 |
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